次元交差:人間以上、人間未満

間借り状態のままに地上世界を生きる、はみ出し人間の霊的旅路や思い

3.11震災‐地震発生!

2011年3月11日。大地震発生の時刻が迫っていました。当然のことながら私は知る由もありません。
ただ、『大きな何かが起こるかもしれない』という不安と『帰りたい衝動』を抱えたまま、…そんな胸騒ぎにも似た思いと葛藤がありながら、それらを無視して行動していたのは事実です。

大きな信号交差点を直進して間もなく左折、バイパスに乗りました。2キロほどで目的地です。何事も無く駐車場に滑り込み、車を停めました。駐車場はそこそこ混んではいましたが、待たずに止めることが出来ました。買い物をする予定の2つの店舗のちょうど中間あたり、地元の小さな八百屋さんの前でした。

車を降りて、まずは100均へ。店に入ったところで店内カゴを取り、右手方向の商品棚に向かって数歩進んだ時でした。眉間近くの目の奥が少し重痛くなりました。頭がクラクラっとして、なんだか聞こえている音がこもったような気がしました。私はまた具合が悪くなったのかと思い、立ち止まって身構えます。
すると…。店内の奥の方からカチャカチャと金属がぶつかる音が聞こえてきました。その時点ではさほど大きくない音でした。私はそれがキッチン用品の棚に吊り下げられている金属製の道具がぶつかっているのだと気づきました。『地震だ!』 

床もろとも周囲が小刻みに揺れ始めました。ちょうどその時、一人の店員が私の横を通りかかったので「地震ですね」と声をかけましたが、彼女は未だ気づいていませんでした。動いているとわからない程度だったようです。
間もなく大揺れが始まりました。それは波打つような横揺れでした。次第にそれは激しさを増して行きました。
私は震源地は遠いだろうと思いました。揺れ方からそう思ったのです。阪神淡路大震災の時と似ていましたから。震源が近い場合は、ここではもっとガシャガシャと揺れるのです。

店内に居た人たちは立ち止まったりしゃがんだりしていました。私は購入するつもりの商品を2つほど取って店内カゴに入れました。まだほかに買いたい物がありましたが、揺れが酷いのでとりあえずそれだけ持って、大揺れの中、よろめきながらレジまで行きました。そして「(店内用の)テレビかラジオ、ありますか?」と…質問してみました。無いのはわかってましたが一応。(私は当時、まだ携帯電話を持っていませんでしたので)
店員からの応答はありませんでした。彼女はテンパっていたのかもしれません。私はといえば、異常なほど冷静でした。
それで、「これ(カゴ)、ちょっと置いといてください、車でラジオを聞いて来ます。それから戻って来ますから」と一方的にお願いして出口に向かいます。

まともに歩けないほど揺れていましたので、私は(故意に)ピョンピョンと片足ジャンプをしながら移動しました。移動の途中、不意に私の口から言葉が飛び出しました。「(震源地は)東北…。」
「えっ?東北?」、言った自分に驚きました。2日前に東北で大きな地震があったのは知ってました。ニュースで聞いていましたから。その地震では、ここではたしか震度1だったから、殆ど揺れませんでした。
今この時揺れている地震震源が遠いことは予想がついていましたが、東北とまでは…勿論、その時は考えにありませんでした。

・・・つづく・・・