次元交差:人間以上、人間未満

間借り状態のままに地上世界を生きる、はみ出し人間の霊的旅路や思い

1つの出来事で2種類の過去が存在(4)

視覚を取り戻すこと。それはどうやるのか?と一瞬考えました。手と足は『そのものの形』を想像してそれに『私の』をくっつけただけでうまく行きました。ならば視覚は?
『こうなる前の景色や私の身体』と『私は見る・見える』とか…まぁそんな感じです。そう念じてみました。すると…見えて来ました。「見えて来た」という表現は、ほんの少し時間がかかったからです。

その様子は。まずは真っ暗からスタートですが、そう…カメラの絞り?シャッター?みたいな感じでしょうか。闇の中心に穴が開いて、それがゆっくり回転しながら外側に向かって広がって、最終的に全開です。真ん中から視野が広がって行くのです。これは昔…私が4歳の入院時にも体験しています。意識を失った状態から戻るときと様子が全く同じでした。

視覚が戻りました。視野が広がって行くときに最初に目に入ってきたのは自分の両脚でした。前屈姿勢を取っている両脚。ズボンには雪がたくさん付いていました。私はゆっくり上半身を起こしました。直立…出来ました。ふらつきはありません。

自分の身体を確認しました。どこも痛みは無く問題なさそうでした。着ていたジャケットの裾の一部と左腕の袖が濡れていました。特に袖はびしょ濡れに近い状態でした。そういえば前屈体勢を取るために立ち上がる際、左腕に顔(頭)が乗っている感触がありましたから、そのせいだと思いました。倒れている間に体温で雪が融けたということなのでしょう。

視野の中には光の塊も無く、そして周囲を見回してみると景色の色も…正常でした。自分が倒れこんでいた場所には、融けた雪がシャーベット状になり、ところどころに小さな浅い水たまりが出来ていました。
『戻ってきた!』そう思いました。