次元交差:人間以上、人間未満

間借り状態のままに地上世界を生きる、はみ出し人間の霊的旅路や思い

上昇!クンダリーニ。迎えた黎明

高校2年の夏…8月2日午前11時18分。(置時計の時刻)
夏休みの宿題をやらねば…などと机に向かっていました。突然猛烈な睡魔に襲われました。寝不足ではないし、食後でもないですから、おかしいなと思いました。我慢をするのですが、とても…我慢し切れません。

スポンジ製の簡易マットレスを床に敷いて、少し横になることにしました。体育座りから身体を伸ばして仰向けに…頭を下ろした瞬間、ゴンと軽く打ちました。私としては頭とマットレスの距離は5センチほどだと思ったのですが、何故か感覚がずれていて倍以上あったようです。
特に痛みとかは無かったので一旦起き上がり、再度ゆっくり慎重に頭を下ろしました。
それにしても…眠い。目を閉じた瞬間でした。今度は金縛りです。初めての経験でうろたえました。とにかく苦しいし、身体が全く動かせません。眠気は吹っ飛びました。

気持ちは動こうともがくのですが、動かせるのは目(眼球)だけでした。斜め右上に視線を移すと、同じ部屋で勉強している姉の姿が見えました。姉は机に向かって鉛筆を走らせていました。私は助けを求めようとしました。「お姉さん、助け…て…」と言いたかったのですが、喋ることが出来ません。心の中で必死に叫ぶも、姉は気づいてくれません。

このとき、姉の姿…というより姉も含めて、周囲の空間が少し変なことに気づきました。淀んでいるわけではないのですが、なんというか…水を張った水槽越し、または水の中から見ているような感じでした。でも、そんなことは気にも留めません。なぜならこの状態から逃れたい一心でしたから。

視線を戻すと足元のほうの空間に何か動き見えました。霞のような靄のような…煙のようなものが沸き立つような動きで私の顔がある方にゆっくり近づいてきます。色はアイボリーか、もう少しベージュっぽい白色でした。恐怖でした。
『どうしよう、このまま…死んでしまうかもしれない…。』そう思いました。それでもまだ…死にたくはありません。どうしたらいいのかと考えましたが、指一本も動かせないわけで、どうすることも出来ないのです。それでも唯一出来たのは目を閉じて念じること。とはいうものの、瞬きならまだしも目を閉じ続けているのは怖い。閉じていたら死ぬかも、と思ったのです。
選択の余地はありませんでした。苦しさの中、私は目を閉じてひたすら念じました。『あっちへ行け!』『大丈夫、意志を強く持てば私は死なない。私は絶対死なない!』

どのくらい時間が経ったでしょうか。突然、楽になりました。金縛りが解けたのです。
私は恐る恐る目を開けました。そこにはいつもの私の部屋が見えました。ゆっくり身体を起こしました。身体が燃えるように熱く、びっしょり汗をかいていました。私は立ち上がって時計を見ました。11時20分。…たった2分しか経っていませんでした。でもその時間は、私にはとてつもなく長く感じられました。
熱が冷めて行くのがわかりました。身体を動かしてみて様子をチェックしましたが、何も異常は感じられません。『なんだったのだろう…』そう思いつつ、日常に戻って行きました。


この2日後、同じように強烈な眠気が来て、やはりマットレスを敷いて横になる羽目になりました。やはり同じように金縛りに遭いましたが同じように対処しました。すぐに目を閉じて念じることに集中してしまったので何も見ることは無く、時間的には短かったように思います。身体が熱くて大量の汗をかいていたのは同じです。
身体が自由になって時計を確認したところ、午前11時36分頃でした。ただ、始まった時刻は2日前の時より遅かったのは確かです。なので時間的には1分ぐらいのことだったのでは?と思います。


この出来事は精神世界やスピリチュアルなどの知識が皆無だった頃でしたので、金縛りについてもよく知りませんでした。なので、何もわからないまま、ただただ焦らないよう自分に言い聞かせ、心理的極限状態の中で解決策を模索・実行して乗り切ったのでした。

その後しばらく静かでしたので、何事も無く日常が続くものと思っていました。
…が、それはとんでもない思い違いでした。
そして、この大きな出来事は私の本格的な霊的人生の始まりの合図だったのです。