次元交差:人間以上、人間未満

間借り状態のままに地上世界を生きる、はみ出し人間の霊的旅路や思い

背中に目?それともテレパシー?

会社員だった頃の話。20代中頃か後半…かもしれません。
当時は経営管理部門の財務所属でした。私は本・支店の取り扱い商品券の管理も任されていました。商品券は自社発行のものと、他社発行のものがあり、自社発行のもの以外は商品管理部門の掛け売り係が担っていました。全店から集められた使用済み商品券は全て、売上報告と共に一旦私のところに集められ、その中で振り分けて、他社発行の商品券を掛け売り担当者に渡すことになっていました。掛け売り係では、各社の締め日が若干異なることもあり、おおよその日にちを決めて1か月ごとにまとめて換金に行くことになっているようでした。

さて、ある日のこと。商品券に関する帳簿をつけていた私は、掛け売り部門に換金をお願いする他社発行商品券を、私の机の左前に束ねて置いていました。ちなみに自社のものは右側へ。
私は普通に集中して仕事をしていたのですが、急に何を思ったか左手で他者商品券を掴み、振り向きざまに高く掲げ、「これでしょー?」と声を上げていました。

私の視線の先には掛け売り係の商品券担当者が目を見開いて驚きの表情でこちらを見ていました。彼女が固まった表情のままコクリと頷いたので、私はそのまま席を立ち商品券を届けに行きました。
彼女の机の傍まで行くと、周囲の机の人たちがこぞって「なんでわかったの?」と訊いて来ます。
そう、担当の彼女はひと言も発していなかったのです。

彼女によれば「(他社)商品券、あるかなぁ…」と思って私を呼ぼう(声をかけよう)と顔を上げたところだったそうです。その時、間髪を入れずに私が振り向いて商品券を示して答えたのでビックリしたのだそうです。
私はと言えば…特にハッキリ何かをキャッチしたというよりは、なんとなく、何も考えずに身体が動いて…口も動いていたというわけです。

ここで、私と彼女の位置関係とだいたいの距離を記します。
私たちが居る部屋は、大きく3部門、総勢25名あまりでした。その割には小さい部屋なので各人の机がびっしり、所狭しと並んでいます。それでも部門ごとに固まっていますが。
当時、私が居る財務と彼女の掛け売り係との位置関係は、ちょうど部屋の対角線の両端。彼女から見て私の机は左前方になりますが、私は彼女に背を向ける格好になっていました。距離にすると、…どうでしょうか、10メートルはあったと思います。もう少しあったかな…。とにかくその部屋の中では、お互いに最遠と言えるような位置関係でした。

というわけで、私の背中に『目』が在ったのか、あるいは無言のやり取りがあった…のでしょうね。
不思議な出来事でした。