次元交差:人間以上、人間未満

間借り状態のままに地上世界を生きる、はみ出し人間の霊的旅路や思い

落雷で一時的な失明状態に

これはべつに不思議な話ではないのですが、あまり無いことかもしれないと思って、忘備録的に書いておくことにします。

これが起こったのは…私が50歳代半ば頃だったと思います。当時は未だ富士の国在住でした。
6月か7月のこと。梅雨の真っ只中という時期でした。
隣市へ行くため車を運転していました。山裾に沿って通る少々カーブの多い幹線道路を走っていました。幹線道路と言っても交通量は普段でもさほど多くはなく、というか、わりと少なく、渋滞することは滅多にありませんし、雨天ともなればぐっと少なくなります。

その日は雨天。道中の外はずっと雷雨でした。雨はそれほど激しく無かったのですが、雷がだんだん近づいて来るようでした。自宅から目的地までは直線距離にして7キロほど。なのでたぶん10キロぐらいの道のりです。
隣市に入り目的地まであと2~3キロほどだったと思います。山裾から離れようとする付近に差し掛かった時、突然、閃光と共に「ッダーンッ!!!」という凄まじい音が鳴り響きました。落雷です。

運転中の私の周囲が一瞬真っ白になりました。眩しいほどの光に包まれました。光がどちら方向からのものなのかは全くわかりません。ルームミラーからも反射があるくらい…後方も真っ白な光。雷は…どこに落ちたのか全くわかりません。ただ、強い光と大音響がほぼ同時でしたから、落雷は至近距離に間違いなさそうです。

静かになってふと気づいた時、目が見えなくなっていました。真っ暗です。私は運転中でしたが、すぐにブレーキを踏み車を停めました。幸い私には土地勘があり、その付近の道路は緩いカーブを過ぎて、ちょうどほぼ直線になったところとわかっていたので、不安はあったものの慌てませんでした。そして直前まで前後に走行車両はありませんでしたので、それも助かりました。ギアをPに。そしてハンドブレーキを引き、手探りでハザードランプを点灯しました。

私は深呼吸をして、ゆっくりまばたきをし、それから視力を確かめました。辺りを見まわしたり眼球を動かしたりしました。…が、ダメでした。音は聞こえるものの、辺りは真っ暗。つまり私は光さえも見えていないというわけです。「さて困った、どうしよう…。」
付近には民家がありませんし、普段でも人通りが少ない場所です。雨なので畑にも人がいません。クラクションを鳴らしても、あまり意味がなさそう…ですが、車が通れば気づいてくれるかもしれない。でも、やみくもに鳴らしても、エアコンかけてるし、バッテリーが…。

じっとしたまま暫く考えていました。どちらにせよこのままでは、通りがかった誰かが気づいてくれるまでどうしようもありません。待つしかないのかなと思いながら、それでも視力を取り戻せないだろうかと、…試みてみようと気持ちは前向きになっていました。

姿勢を正し目を閉じて、再度ゆっくり2~3回深呼吸をしました。それから眼球をひっくり返すようにして…そのように意識して…目の奥を見るような感じで念じてみました。『視力を取り戻す』と。『見えるようになる』と。
念じながら暫く意識を集中させてゆっくり呼吸していました。2~3分ほどそのままの状態で居たと思います。
静かに瞼を上げて見ました。開いた目に…視野が広がって…景色が見えていました。私の車は車線上の少し左に寄った形で停止していました。よかった…。
次に車の中を見回してみました。異常はなさそうでした。その時の外はどしゃ降りで、まだ少し遠くで雷が鳴っていたので、車の外側を点検することは諦めました。近くに車がいないことを確認してゆっくり車を発進してみました。大丈夫そうでした。

とりあえず目的地まで、車の様子に気を配りながらも、安全に何事もなく到着出来ました。
用事を済ませて帰る頃には雨が小止みになっていたので、車の周りを歩いて外見に異常が無いかチェックしてみました。タイヤも含め、何も問題はありませんでした。
あの時、雷が何処に落ちたのかはわかりません。でもそのせいで私は一時的に失明してしまいましたが、交通事故を起こさずに済み、そしてほどなく視力を取り戻せたのは、ありがたいことでした。なんにしても貴重な経験でした。