次元交差:人間以上、人間未満

間借り状態のままに地上世界を生きる、はみ出し人間の霊的旅路や思い

抑止された車の発進

50代半ば頃だったと思います。ある日私は車で隣市に出かけました。市内のとある交差点での出来事です。
交差点の信号が赤になり、停止線前で停車しました。=先頭です。幹線から横道に入ったところの4つ角。交通量はさほど多くありません。それでも信号待ちでは数台の車列が出来ます。

ちなみに。その交差点ですが、私から見て左手前は角まで店舗や民家があり、見通しが悪くなっています。右手前の角は家2軒分(手前も右隣も)ほど空いていて、道路の反対側(交差点右奥)まで見通せます。

目の前の横断歩道を左から右へ子供の集団が走って渡って行きました。私側の信号は赤ですから、子供たちが見ている信号は青ですね。集団は6~8人だったと思います。小学校4年生か5年生くらいの子を筆頭に、低学年…たぶん1年生かな…も含まれていたように思います。男の子ばかりのグループでした。
私はつい…昔の『ガキ大将』をイメージしてしまいましたが、全員楽しそうに声を上げながら各々ばらけて通り過ぎて行きました。彼らのほかに歩行者はいませんでした。

彼らの全員が渡り切り右側の死角に入った頃、私側の信号が青になりました。私はブレーキからアクセルに踏みかえようとした…のですが、何故か足が動きませんでした。…というか、何かが?私の行動にストップをかけているような感じでした。『?、なんで?』

後続車が居るので車を発進させないと迷惑です。…が、動けません。後ろからクラクションを鳴らされるのではないかと心配になった時、交差点の左手前角の死角から突然、幼稚園児らしき男の子が飛び出して来ました。横断歩道を必死に駆けて渡って行きます。信号が赤だというのに全く見ずに、そして左右の車に注意を払うことも無く、ただ前だけを真っ直ぐ見つめて走っていました。たぶん、さっきの子供の集団の仲間というか、その中の誰かの弟なのでしょう。まだ小さいのでついて行けず、置いてけぼりになって追いかけている、ということでしょう。

私はホッとしました。これだったんだ、と。車を発進させていたら事故になっていたかもしれません。
何かが(誰かが?)…私がアクセルペダルを踏まないよう助けてくれたのだと思いました。心の中で感謝をしました。

それから私はゆっくり車を発進させました。特に左の死角側に気を付けながら交差点の中央あたりに進んだ時、対向車の運転席の若い女性がこわばった表情をしているのに気が付きました。そう、彼女側からは見えていたのですね。子供の一団から遅れた小さな子供が信号を無視して飛び出すのが。さぞドキドキしたことでしょう。
私は軽く会釈しながらすれ違いました。お互い、とんでもない状況を見ずに済んで良かったですから。