次元交差:人間以上、人間未満

間借り状態のままに地上世界を生きる、はみ出し人間の霊的旅路や思い

肉体からの離脱実験(2)

自分で作り出した金縛り状態は、自然に遭うそれとよく似ていました。というか、私には同じもののように感じられました。少なくとも金縛り時の「肉体」そのものは。

金縛り状態の中、私はいくつかの違いに気づきました。
まず、身体が動かなくて苦しいのですが、あの「心臓がえぐり取られる(握り潰される)」ような激痛はありません。それから、体が上昇して行くような感覚もありません。上昇に伴って見える白っぽい紐状のものも見えません。
とりあえず、そんなところでしょうか。

それらを確認した後、私は「外」に出ることを試みました。丹田に集めた意識を再度頭の方へ移動、『頭頂部から出る』と念じてみました。すると、出られました。空間の感触としては…やはり違いました。あの自然に遭う金縛りの時のような透明感はありません。少しどんよりしているというか、重い=密度が高い感じでした。暗いのですが、真っ暗と言うよりは幾分か明るさがあるように見えました。暗い灰色というか。ただ、周囲の景色みたいなものは見えませんでした。

私の意識は…意識だけの状態で存在しているようでした。でもそれは肉体の分身?のようなものを伴っていました。目鼻などが(そのものの形として)あるようには思えませんでした。つまり、肉体ではないけれど肉体の形を模した?風船のように柔らかい弾力性のある塊として感じられる自分です。ただ、それが弾力のあるそれの中に入って意識と強く結びついているのではなく、傍だったり中だったり…とにかく一緒に在って『これも自分』とわかるのだけれど、どこかちょっと別物のようにも感じているのです。意識がその中に居て全体を統制しているというよりは、部分を意識したときにそれぞれを見ながら同時にその中でコントロールしている…みたいな。(上手く言えないのですが)

まぁとにかく、そんな状態の自分が空間に浮かんでいるのがわかりました。私はその肉体のように立体的に感じられる型の足を天井方向に蹴り上げてみました。逆上がりをするように…というか棒高跳び選手がバー越えをするときに脚を揃えて上に揚げるような感じです。面白いことに、出来ました。ふわっと上がって型の身体が逆さまになりました。
続けて浮かんでいるその位置で型の身体を丸めて宙返りを何度も繰り返しました。肉体は無いのにそれをやっている感覚はあるのです。とても楽しいというか面白かったです。

さて、それだけやった後、早々に戻ることにしました。なんとなく…あまり長居はいけないと思ったのです。
戻ろうと思ったとき、直立した型の私の足元に肉体の私が横たわっているように見えました。『見えました』と言っても実際に肉眼で見えるようなふうではありませんでした。輪郭はわかるけど、肉体での視覚のように細部まで明るくハッキリわかるような見え方ではありません。でも、感覚として『見えている』のです。
その時は周囲がボンヤリ…うっすら…明るかったように思います。頭頂部を目の前にして立ちました。奥に向かって体が伸びています。

私は『頭頂部から出たのだから、同様にそこから入る』と勝手に思っていました。『…けれど、さて、どう入るんだろか…。』ちょっと考えました。でも自然に右足が右肩のあたりに向きました。首筋に向かって足を浮かして伸ばし、屈むような姿勢を取ったら…。気づいたら戻ってました。金縛りも解けて、私は布団の上に寝ていました。
こうして第1日目の実験=体験は終わりました。

・・・つづく・・・