次元交差:人間以上、人間未満

間借り状態のままに地上世界を生きる、はみ出し人間の霊的旅路や思い

3.11震災‐4つの明晰夢(後編)

3)夕方遅い時間もしくは夜でした。私は道路を歩いています。道幅はそんなに広くありませんが、アスファルトでセンターラインがありました。街中のようでした。車が数台通ったのですが、灯も殆ど無く、賑わいはありません。静まりかえっていました。ある角を曲がるとそれよりも狭い道。舗装はされていたように思いますが、進むと突き当りで菱形ネットのフェンスがありました。ありふれたよくある仕切りのフェンスです。その向こう側には空き地があったように思います。草も少しあったような。
すぐ近くに大きな鉄筋コンクリートの建物がありました。私は小さな電球が灯るフェンスの背丈ほどの扉を開けて敷地に入り、建物の出入り口から中に入りました。細い廊下からすぐ階段になっていました。踊り場から見上げると窓があったのを憶えています。そこを昇ります。最上階まで行きました。
ちなみに建物は、屋上中央に四角い小部屋ふうの出っ張りがあり、更にその屋根上に金属製の脚が組んであり、円形の時計が取り付けられていました。一見すると、一昔前の高校の校舎のような雰囲気です。
階段はそこそこ明るかったですし、最上階の小部屋ふうのところも光はありました。外を見ると何故か?明るくなっていました。朝かどうかはわかりません。空地(運動場?)が見えました。そこにも建物にも…周囲にも誰もいませんでした。天気は…曇っていたような…。

4)私は小高い丘かどこか…そんな場所からの景色を見ていました。眼前に広がるのは荒涼とした…たぶん街があったであろう痕跡。「痕跡」というのは、なんだか…ぐちゃぐちゃになった黒いものに埋め尽くされていたからです。「街」と思ったのはかなり遠くに鉄筋コンクリートの建物が2棟だけ見えたからです。それぞれは離れた位置です。向かって右のものは直方体(細長い)建物。マンションかアパートで、見えている手前側は壁で奥に向かって長い建物でした。向かって左は手前側から一見すると立方体ふう。少し斜向かいから見えている形です。それら鉄筋の建物は複数階建てだと思いましたが、なにぶんにも周囲は…私の目の前から…いたるところ原型を留めていない瓦礫状の物質が大量にあるため、数字的な見当は全くつきません。また瓦礫状のものは、すぐ近くの物がわずかに材質がわかる程度です。
空は明るくてアイボリーか少し黄ばんでいて…薄曇りなのか曇っているのかよくわかりませんでした。そして鳥も飛んでいなければ人も…一人も見えませんでした。動くものが見えなかったです。一度、風が吹きました。
誰もいない(私しかいない)その場所で、誰に言うともなく、私がひと言、発します。「地震があったんだってね…」


私は目が覚めました。ばっ!と起き上がって『何なの?、今の(夢)』となりました。
妙にリアルで心臓がドキドキしていました。特に私が呟いた夢を強烈に憶えていました。何なんだろう、あの風景。地震があったとしても、なんであんなにほぼ全部が真っ黒でぐちゃぐちゃなの?阪神(淡路大震災)の時だって、建物の倒壊はあったものの火事はあったものの…あんなふうじゃなかった』そう思いました。
続けて、それ以外の3つの夢も思い出しました。一見つながりが無いような夢。でも場面が切り替わって続けて見たということで、何か関係があるのかもしれないと思いました。

強い印象の(私が呟きを発した)夢の記憶に立ち戻り『あれは何処なんだろう…。外国? …でも外国には見えなかった(思えなかった)。とすれば日本? ここ(富士の国)のようでもなかった…と思う。日本だとしたら…何処?』と考えました。また更に『あんな酷い状態は、…あんなに酷いのはこれまでに見たことが無い…。風に吹かれた時の感触もリアルだった…から…まさか…もしかしてこれから起こるのか…ナ?』

そこまで頭の中で問うたところで急に心の底から湧きあがる恐怖に襲われました。鳥肌が立ち、心臓が早鐘のように打ちました。ガタガタと身震いが来ました。初めは1月の寒さと暖房をしていないからの寒さが原因かと思いました。上着を着たのですが震えは止まりません。『違う、寒さからじゃない。恐ろしいい…』と気づきました。
心の奥底からの真の恐怖というのは、きっとこんな感じなのだろうと初めて思いました。
私は両腕を両肩にまわして胸を押さえ、締め付けるようにして震えを止めようとしました。同時に『日本の何処かはわからない。此処かもしれない。でもどこかで起こるとしても、もう…考えたくない』そう思って、とりあえず心の奥底に封印しようと決めました。忘れないとしても考えないように、と。
恐怖と震えを止めることに成功し、私はその後、夢の記憶を封印しました。そして月日は…流れて行きました。

・・・つづく・・・

**これを書いた暫く後に思い出したのですが、3)の夢が4つの夢の中で最後だった、と。つまり4番目。
そしてその夢の長さは、他の3つと比べて極端に短かったことも思い出しました。
ただなんといっても、あの荒涼とした風景の夢が一番インパクトがあって、吹き渡る風が私の身体に当たる感触も生々しかったです。**